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2022-01-31
クラウドファンディング中止のおしらせ

Kickstarterで支援して下さった皆様、HalfDiveプロジェクトを応援して下さっている方々へ

お世話になっております、Diver-X代表の迫田です。 Diver-Xは予てより実施しておりましたHalfDiveのKickstarter(クラウドファンディング)を1/30日に取り下げ(中止)しました。まず、突然の取り下げになってしまいました事、支援者の皆様に対しての取り下げの経緯の説明が遅くなってしまった事をこの場でお詫びさせて頂きます。(※プロジェクトの取り下げを行った為、支援者の皆様に請求が行われる事はありません)

以下の3つの理由からHalfDiveのKickstarterの中止を行いました。(中止への影響度が大きい順に並べています)

理由1:製品の方向性の大幅な変更 現在のHalfDiveの仕様が、「寝ながらで生活を完結させる」「既存の技術の結集でフルダイブに近い体験を実現する」といった弊社の掲げる目標を実現する為の最適な形ではないという考えに仮説検証を繰り返していくうちに至りました。(Kickstarterの実施も仮説検証の一部です。)HalfDiveは当初、「①寝ながらのVRゲーム」そして「②寝ながらの作業」という2つのユースケースを掲げていました。VR HMDやゲームの販売台数は年々増加しており、いわゆる成長市場であると言われています。我々は後述する理由により、将来的に寝ながらVRがVRの体験のスタンダードになると確信していますが、コンテンツやインターフェース(操作系)の問題から現在はあくまでニッチな体験方式でしかありません。その為、VRゲームを行う事だけをHalfDiveのユースケースとして打ち出したとしても十分な販売台数・利益を得られないであろうという予想はプロジェクト開始時から立っていました。そこで「寝ながら作業」をしたいというVRユーザーだけでなく、全人類に適用できるユースケースを掲げる事でニッチなデバイスからの脱却を図ろうとしていました。しかし開発やヒヤリングを進めて行く中で、そのユースケース自体も実はニッチであったこと、そのユースケースを実現する為に十分な機能開発が出来ていないと気づきました。特に寝ながら作業をする場合において、最も重要になるのは映像表示系(HMD)ではなく、マウスポインティングや文字入力といったインターフェース系であるという根本的な事実にたどり着くまでに多くの時間と資金を溶かしてしまいました。それによって、HalfDiveのユースケースは後々ゲーム用途の一本に絞られました。しかし、ゲーム用途一本で開発を進める中でも作業用途と同じように「寝ながらのVR体験」を実現・スタンダードにする為には映像表示系よりもインターフェース系の方が重要であるという事に気づきました。というのもいくら寝ながらの使用に最適化し多機能にしたとしても、所詮は既存のVRデバイスの代替でしかなく革新的な体験をもたらすのは、インターフェースであるからです。(寝ながらという身体運動制限下でも、これまでと同じような身体動作が出来るようなインターフェースを実現する事)ここで我々は、インターフェースの開発に注力しそれを既存のVRデバイスと組み合わせた方が我々の目標の実現可能性は高く、より良い体験が得られるのではないかと考えるようになり、HalfDiveのコンセプトと実際に出来たもの、そしてそれを量産することを徐々に懐疑するようになりました。

理由2:組織体制の未熟さ 資金的理由から光学やディスプレイといったHalfDiveの性格を決める主要コンポーネントの設計は外部に委託している状態でした。それによって現在の市場のデバイスやHalfDiveのコンセプトに対して適切なコンポーネントを一般販売を想定した時に適切な原価で製造出来る状態にありませんでした。特に光学系の製造コストがHalfDiveの原価の約半分を占めており、量産におけるネックとなっていました。主要コンポーネントに対する社内の知識不足が仕様検討に影響し、最終的に原価を大きく上げてしまうという組織状態になっていました。

理由3:キャッシュフローの問題 上記の組織の問題とも関連するのですが、そういった技術的最適解を得られていない・原価の高騰をカバー出来るだけの十分な資金力が弊社にはありませんでした。そして、それがKickstarterでの皆様からのご支援や追加の調達を考慮したとしても十分に改善出来る状態になく、このまま量産に向かう事が倒産・皆様に製品を届けられないという最悪のケースにつながる可能性が高いと判断しました。そして量産を行うには十分ではないが、一度引いてやり直す事は十分に出来る資金状態であった為、誠に身勝手ではありますが、少しでも成功可能性の高い方向へリスタートを切る判断をしました。

上記3つの理由により、このままKicistarterをゴールさせ皆様の大切なお金を頂いたとしてもHalfDiveが謳う体験を十分に提供出来ない可能性・生産を完遂させる事が出来ず、最悪の場合皆様に製品が届けられない・会社としての信頼を失う可能性が高いと判断し中止に至りました。

Diver-XとHalfDiveの今後について
しかし、我々は当初から掲げている「寝ながらで生活を完結させる」「既存の技術の結集でフルダイブに近い体験を実現する」という目標を諦めた訳ではありません。先の中止の理由に掲げていたキャッシュフローや組織体制の改善を第一に行い、まず1つのスタートアップとしての基礎固めを着実にし、HalfDiveそして他の新規製品をきちんと皆様の手に届けられる状態が構築出来てから再チャレンジしたいと考えています。

今後はHalfDiveや新規製品の開発の継続だけでなく、受託開発も行っていきたいと考えています。ハード・ソフトウェアのプロトタイピングやプロダクトデザインのお話がございましたらお声がけ頂けますと幸いです。
最後になってしまいましたが、HalfDiveのKickstarterをご支援して下さった方々、広報に協力して下さった方々に改めてお礼を申し上げます。

Diver-X 社員一同